鼻中隔彎曲症(鼻中隔湾曲症)NASAL SEPTUM
鼻中隔彎曲症
左右の鼻の穴の間を隔てている鼻中隔は、軟骨と骨でできています。ほとんどの方の鼻中隔は程度の差はありますが歪んでいます。そして、かなり大きく歪んでいる場合も表から見た鼻筋はまっすぐ見えることも多く、鼻腔を確認しないと歪みの大きさはわかりません。鼻中隔の歪みが大きいと鼻腔が狭くなり、慢性的な鼻詰まりを発症しやすくなって、副鼻腔炎の発症リスクも上昇します。慢性的な鼻詰まりでお悩みの場合には、鼻中隔の歪みの程度を調べましょう。
鼻中隔が彎曲する原因
鼻中隔は軟骨と骨でできています。鼻中隔を構成する鼻中隔軟骨・篩骨正中板・鋤骨は成長によって発達していきますが、成長スピードが異なるためアンバランスな発達を起こすと歪んでしまい、鼻中隔が彎曲してしまいます。鼻中隔の彎曲は成長によって大きくなるため、子どもの発症はほとんどありません。
鼻中隔彎曲症の症状
鼻中隔が歪んで彎曲し、空気の通り道を狭めてしまうため、鼻詰まり、それにともなう症状が起こります。
- 鼻詰まり
- 匂いがよくわからない
- 頭痛
- 肩こり
- 集中力低下、注意力散漫
- 鼻血を出しやすい
- いびき
- 後鼻漏(鼻の奥から喉に向かって鼻水が落ちる)
鼻中隔彎曲症の検査と診断
周辺の粘膜の状態を詳細に確認します。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の合併も多いため、その有無や程度、状態も調べます。内視鏡検査では副鼻腔の粘膜もすみずみまで確認できます。アレルギー性鼻炎が疑われる場合にはアレルギーの検査も行います。
鼻中隔彎曲症の治療
鼻中隔彎曲症では慢性的な鼻詰まりの症状を起こすことが多くなっています。また、頭痛や肩こり、集中力低下、いびき、眠りが浅くなる、鼻血が出やすいなどの症状も現れることがあります。また、副鼻腔炎を合併しているケースも多く、その場合には鼻水が裏から喉の方に落ちる後鼻漏などの不快な症状を起こすこともあります。副鼻腔炎は進行すると嗅覚や味覚の障害を起こすこともあります。鼻中隔彎曲症は骨や軟骨の歪みによって起こっているため薬物療法では治すことができず、根本的な治療には手術が必要です。なお、鼻中隔が彎曲していても気になる症状がなく、副鼻腔炎などを起こさないようでしたら治療の必要はありません。
鼻中隔彎曲症診断のための検査
1. 視診
鼻鏡という専用の器具を使って鼻中隔を観察します。専門医による視診では、彎曲の程度や状態をこの段階である程度正確に把握できます。
2. 内視鏡検査
極細の内視鏡スコープを挿入して、粘膜の状態や鼻腔の広さなどを詳細に確かめます。
3. CT(コンピュータ断層撮影)検査
鼻中隔の彎曲は形状や角度、幅や向きなどがお一人おひとり異なっています。CT検査は、X線による断層撮影を行って、鼻中隔がどう曲がっているのかを立体的な画像で確認できます。副鼻腔炎の合併がある場合には、その状態も正確に診断できます。
4. その他の検査
アレルギーの有無を調べる検査を必要に応じて行います。
鼻中隔彎曲症の日帰り手術 『鼻中隔矯正術』
鼻中隔彎曲症は「鼻中隔矯正術」による手術が可能です。内視鏡を使って鼻の穴の入口から1㎝くらいの場所を切開して、彎曲した骨や軟骨を取り除き、鼻中隔を正常な状態に矯正します。同時に粘膜下下鼻甲介切除術を行うことで、腫れた鼻粘膜の切除も可能です。 鼻中隔が彎曲していると片側の鼻腔は狭くなりますが、反対側の鼻腔は広くなります。広すぎる鼻腔が過剰な空気を通過させないように、人体は広い方の鼻甲介を腫れさせて通過する空気の量をコントロールします。こうした腫れを残したまま鼻中隔の歪みだけ矯正してしまうと、腫れた側の鼻腔がさらに狭くなってしまうため、同時に粘膜下下鼻甲介切除術を行うことで左右の鼻腔のバランスをとることができます。
肥厚性鼻炎を合併している場合
肥厚性鼻炎の合併がある場合、鼻中隔矯正術と同時に粘膜下下鼻甲介手術も行います。切開して彎曲した骨や軟骨を取り除くと同時に、腫れている下鼻甲介粘膜の一部を切除、あるいは粘膜切開後に下甲介骨を取り除きます。これによって肥厚が解消し、鼻の通りが改善されます。
◆粘膜下下甲介骨切除術
鼻腔を広げる術式の1つで、下鼻甲介の粘膜を切開して下甲介骨を切除します。これによって粘膜を維持したまま下鼻甲介の腫れを解消できます。局所麻酔で可能ですから日帰り手術で受けられます。