みみの病気 よくある症状・疾患EAR DISEASE
よくある症状
◆耳の痛み
耳の痛みは主に炎症が原因で起こっていて、痛みが激しい場合は水痘や帯状疱疹などウイルスに感染している可能性があります。 炎症が進行すると耳のさまざまな器官が深刻なダメージを受けてしまいます。耳には聞く機能に加えて平衡感覚を司る機能もありますし、中耳には顔面神経が並走しています。耳の痛みに難聴、めまい、顔面麻痺、顔が曲がるなどの症状がともなう場合、緊急に適切な処置が必要です。
◆耳だれが出る(耳漏)
耳から液体が出てくる症状が耳だれです。サラっとして透明な水のようなもの、ドロっとした粘度の高いもの、血液などがあり、耳だれの状態によって原因をある程度特定することができます。血液が混じった耳だれは悪性腫瘍の可能性がありますので早めに受診してください。
外耳に原因がある耳だれは、外耳道湿疹や外傷によって起こっていることが多く、放置して細菌感染を起こすと外耳炎になってしまいます。耳かきのし過ぎで傷ができ、それによって耳だれを起こすことがよくありますのでご注意ください。
中耳に原因のある耳だれは、慢性化した中耳炎などによって鼓膜に穴が開いたことで液体が外耳に漏れて耳だれとなります。また、内耳に外傷を受けて、水っぽい耳だれを生じることもあります。なお、体質的に耳あかがとてもやわらかく、耳だれのように見えるケースもあります。
◆聞こえが悪い
徐々に聞こえにくくなった、突然聞こえなくなった、音がこもって聞こえる、電話やテレビの音量を上げないと聞こえにくい、耳鳴りがするなど、難聴にはさまざまな症状があります。片耳だけに起こることもあります。突発性難聴、メニエール病、中耳炎などが疑われますが、突発性難聴は回復が難しい病気です。受診が早ければ回復する可能性が高くなりますので、聞こえの悪さに気付いたら早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
◆耳鳴り
音が鳴っていないのに、音が聞こえる状態です。筋肉の痙攣や血管の拍動などご自分の体から起きている音を感じてしまう他覚的耳鳴の場合は、診察で医師が音を確かめることができます。自覚的耳鳴はご本人にしか聞こえない耳鳴りで、難聴の症状として現れることがよくあります。自覚的耳鳴が起こる原因はよくわかっていませんが、難聴がともなう場合にはその原因に合わせた治療が必要です。
◆めまい
耳は平衡感覚を司る機能を持っているので、耳の疾患でめまいを起こすことがあります。
めまいの診断には、聴力検査と目の動きを観察する眼振(がんしん)検査を行います。原因に脳がかかわっている可能性がある場合には重心動揺検査も行います。また、顔の表情に症状が現れている場合には顔面神経麻痺が疑われます。
めまい以外の症状で耳鳴り・難聴がある場合は突発性難聴やメニエール病の可能性があります。突発性難聴は早期の治療が特に重要です。激しいめまいの症状だけがある場合は、良性発作性頭位めまい症が疑われます。
◆耳が詰まる
音が聞こえにくくなる、圧迫感があるといった症状は、実際に耳あか、水や異物が耳に入ることで症状を起こすこともありますが、突発性難聴などの病気から起こっている場合もあります。
外耳では水や異物、耳あか、分泌物が鼓膜に付着するといった物理的な原因と、炎症による腫れによって起こっていることが多くなっています。
中耳では、中耳炎やかぜなど喉や鼻の炎症で耳管が腫れて耳が詰まるような症状が現れます。耳管は耳の中の空気圧を調整する役割があるため、加齢や体重の減少で、耳管が過度に開くと症状を起こしやすくなります。また、滲出性中耳炎では中耳に水がたまって、耳が詰まる症状を起こします。
内耳では、メニエール病、突発性難聴、急性低音障害型感音(かんおん)難聴が疑われます。
耳の疾患
◆急性中耳炎
主にかぜなど、鼻や喉に起こった炎症が原因になって発症します。細菌やウイルスが耳管を通じて中耳に感染して炎症を起こしています。かぜの治りかけや治った後に発症することが多いため、その時期に耳の痛みや聞こえにくさが起こったら耳鼻咽喉科を受診してください。受診してしっかり治さないと慢性化して炎症が進行し、治すのが困難になり、聴覚や平衡感覚にダメージを与える可能性もあります。
中耳炎は子どもに多い病気です。大人に比べると子どもの耳管は太くて短く、さらに喉や鼻から水平に伸びているため、細菌やウイルスが容易に中耳へ入り込んで感染しやすい傾向があります。かぜと中耳炎を繰り返して中耳炎を慢性化させてしまうことも多いので、子どもがかぜをひいたらしっかり観察して、耳を気にしている様子などがあったら受診してください。
よくある症状
- 耳の痛み
- 耳だれ
- 耳鳴り
- めまい
治療法
耳だれなどの処置をして、強い痛みがある場合には痛み止めを処方します。適切な治療を受ければ1~3日ほどで痛みは解消します。鼻水が多い場合には吸引を行うこともあります。吸引は新たな細菌やウイルスが中耳に侵入するのを防ぐ効果があるため、早い回復が見込めます。また、かぜをひいた時点で鼻の吸引をこまめに受けることで中耳炎の予防に役立てることもできます。なお、強い症状がある場合には、抗生物質を使用します。
予防法
鼻水を鼻にためないようにすることが重要です。耳鼻咽喉科では専門の器具を使用して鼻吸引や鼻洗浄といった処置を行います。鼻の奥にたまった鼻水もきれいに除去できるため、とても効果的です。炎症がある際の鼻水には大量の細菌やウイルスが存在しているため、そのままにしていると耳管を通じて中耳に感染するリスクが高くなってしまいます。子どもの場合、ひとりではうまく鼻をかめないため、周りの方がうまく助けてあげる必要があります。
◆滲出性中耳炎
急性中耳炎で中耳に浸出液がたまり、炎症を起こしている状態です。この浸出液は、中耳の炎症が長期間に渡って続いた場合や、耳管機能が低下した際に膿の排出が滞ってたまっていきます。難聴につながる可能性がありますので、治りきるまできちんと治療を受けることが重要です。診察を受けた際に、アデノイドが大きいと指摘されている場合には、特に滲出性中耳炎になりやすい傾向があり注意が必要です。
よくある症状
- 耳の痛み
- 耳が詰まる
治療法
消炎剤や抗ヒスタミン薬などによって炎症を鎮めます。進行して難聴や鼓膜の癒着が起こっている場合には、通気治療によって中耳にたまった液体を排出させます。通気治療を行っても十分に改善しない場合には、手術が必要です。手術には、鼓膜切開術や鼓膜チューブ挿入術などがあります。
再発予防
しっかり治さないと、再発を繰り返したり症状が悪化する恐れがあります。完全に治りきるまでしっかり治療を受けましょう。滲出性中耳炎は週1回の通院を3ヶ月程度続ける必要があるとお考えください。また、中耳炎を繰り返す場合には、耳鼻咽喉科をこまめに受診して吸引や鼻洗浄の処置を受けることが効果的な予防につながります。
◆突発性難聴
突然、聞こえが悪くなり、耳鳴りやめまいをともなうこともあります。早期の受診により回復できる可能性が高くなるため、症状に気付いたらすぐに受診してください。発症後1週間以内の受診が重要だとされています。発症頻度に男女差はなく、30~60歳代に多く発症する傾向があります。難聴が回復しないと生活やお仕事に大きな支障を生じます。音が小さく聞こえる、耳が詰まったような感じがする、何度も聞き返してしまう、電話やTVのボリュームが大きいと指摘されたなどがありましたら、すぐにご相談ください。
よくある症状
- 難聴
- 耳鳴り
- めまい
治療法
突発性難聴は、発症してから1週間以上放置してしまうと、治療をおこなっても改善する可能性が低下してしまいます。さらに、後遺症もなく完治できる方が約1/3、改善するものの完全には戻らない方が約1/3、治療効果がない方が約1/3程度とされています。難聴は生活にも大きな支障を生じます。
早期の治療は耳鳴りが残るといった後遺症低減にも役立ちますので、症状に気付いたらできるだけ早い受診が重要です。
ステロイドホルモン剤を中心に治療を行います。